私は、20年以上にわたる、ヘビースモーカーでした。そして、それと、同じくらいの期間、自分の歯に、こびりついた、茶色い「ヤニ」に、コンプレックスを、抱えていました。人前で、歯を見せて笑うことなど、到底できず、初対面の人には、不潔な印象を、与えているのではないかと、常に、おびえていました。市販の、ヤニ取り専用の歯磨き粉を、いくつも試しましたが、気休めにしかならず、半ば、諦めていました。転機が訪れたのは、歯周病の治療で、通い始めた、歯科医院で、歯科衛生士さんから、「一度、本格的に、クリーニング(PMTC)をしてみませんか?」と、勧められたことでした。「どうせ、きれいになっても、また、すぐに元に戻る」。そう、 cynicism(皮肉)っぽく、答えた私に、衛生士さんは、笑顔で、こう言いました。「きれいになった歯を、見たら、きっと、もう、汚したくない、って、思うはずですよ」。その言葉に、半信半疑ながらも、私は、PMTCを、受けることにしたのです。施術は、約1時間。超音波で、歯石を取られ、その後、回転するブラシで、歯が、一本一本、磨かれていく。そして、全ての工程が、終わった後、手鏡を渡された瞬間、私は、自分の目を、疑いました。鏡の中にいたのは、これまで、見たことのない、ツルツルで、輝くような、白い歯を持つ、自分自身でした。20年分の、頑固な茶渋とヤニが、完全に、消え去っていたのです。その、あまりの、劇的な変化に、私は、しばらく、言葉を、失いました。そして、その日の夜。いつものように、食後の一服をしようと、タバコに火をつけようとした、その瞬間。私の頭の中に、あの、ツルツルになった、自分の歯の感触と、衛生士さんの言葉が、よみがえりました。「もう、汚したくない」。私は、そっと、ライターを置き、その一本を、吸うのを、やめました。もちろん、禁煙は、簡単な道のりでは、ありませんでした。しかし、きれいになった自分の歯を、鏡で見るたびに、「この白さを、守りたい」という、強いモチベーションが、私を、支えてくれました。PMTCは、単に、私の歯の茶渋を、落としてくれただけでは、ありません。それは、私に、自分自身の体を、大切にするという、新しい「価値観」と、悪しき習慣を、断ち切るための、力強い「きっかけ」を、与えてくれたのです。
ある愛煙家の告白、PMTCがくれた「新しい習慣」