市販のホワイトニング歯磨き粉は、歯を漂白する成分を含んでいないにもかかわらず、なぜ、歯が「白くなった」ように感じられるのでしょうか。その効果の秘密は、主に、三つの異なる科学的なアプローチにあります。これらのアプローチを理解することで、製品の成分表示を、より深く読み解くことができるようになります。第一のアプローチが、最も古典的で、分かりやすい、「研磨による物理的除去」です。多くの歯磨き粉には、「清掃剤(研磨剤)」として、「無水ケイ酸」や「炭酸カルシウム」といった、微細な粒子が配合されています。これらの粒子が、ブラッシングによって、歯の表面にこびりついた、頑固なステインを、物理的に「削り落とす」ことで、歯を白く見せます。しかし、粒子が粗すぎたり、強く磨きすぎたりすると、歯の表面のエナメル質を傷つけてしまい、かえって、着色しやすい、あるいは、知覚過敏の原因となる危険性もあるため、注意が必要です。第二のアプローチが、近年の主流である、「化学的なステイン除去」です。これは、歯を傷つけることなく、ステインを、化学的に「浮かせて、落とす」ことを目的とした成分によるものです。その代表格が、「ポリエチレングリコール(PEG)」や、「ポリビニルピロリドン(PVP)」で、これらは、タバコのヤニのような、油性のステインを、溶解して、除去する働きがあります。また、「ポリリン酸ナトリウム」や、「メタリン酸ナトリウム」といった成分は、歯の表面と、ステインの間に入り込み、イオンの力で、ステインを歯から、引き剥がす効果があります。さらに、これらの成分には、歯の表面をコーティングし、新たなステインの付着を、防ぐ効果も期待できます。第三のアプローチが、「光沢や、マスキングによる、視覚的効果」です。歯の表面の、ミクロの傷を埋めて、光の反射を高め、歯に、ツヤと輝きを与える成分(光沢剤)や、青色の色素などを配合することで、歯の黄ばみを、光学的に、打ち消し(マスキング)、一時的に、白く見せる、というものです。最新のホワイトニング歯磨き粉は、これらのア-プローチ”を、複合的に組み合わせることで、より高い「白さ」の実感を、目指しているのです。
なぜ白く見える?ホワイトニング歯磨き粉の3つのアプローチ