差し歯や被せ物がある方が、その事実を考慮せずに安易にホワイトニングを行ってしまうと、理想の笑顔を手に入れるどころか、かえって深刻な審美的な問題を引き起こす可能性があります。その最大にして最も恐ろしいリスクが、「色の不調和(カラーミスマッチ)」、すなわち歯の色がまだらになってしまうことです。ホワイトニングの薬剤は天然の歯にのみ作用するため、施術を進めていくと、周囲の天然歯はどんどん白く明るくなっていくのに対し、差し歯の色は元のまま、まったく変化せずに取り残されてしまいます。特に、治療箇所が前歯やその周辺の目立つ部分である場合、その結果は悲劇的ですらあります。施術が終わった後、鏡に映るのは、白く輝く歯の列の中に、一本だけ黄ばんだり、くすんだりした色の歯が不自然に浮かび上がって見える、という無残な光景です。この色の差は、元の歯の黄ばみが強ければ強いほど、そしてホワイトニングの効果が高ければ高いほど、より顕著で深刻なものとなります。一度この状態になってしまうと、周囲の歯の色を元に戻すことは難しく、取り残された差し歯の色だけが悪目立ちし続けることになります。多くのセルフホワイトニングサロンや市販の製品では、こうしたリスクに対する十分な説明がなされていないケースも少なくありません。自己判断でケアを進めた結果、コンプレックスを解消するはずが、新たな、そしてより深刻なコンプレックスを生み出してしまう。これこそが、差し歯がある方のホワイトニングにおける、絶対に避けなければならない最大のリスクなのです。